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2006年10月31日 (火)

先ず隗より始めよ

日本産科婦人科学会 産婦人科医療提供体制検討委員会から以下のような提言が出ていました。

分娩施設における医療水準の保持・向上のための緊急提言

1.すべての分娩施設は必要なスタッフを確保し、医療設備の向上に努めていただきたい。

2.分娩施設の責任者は、勤務している産婦人科医師の過剰勤務を早急に是正すべきであり、それが達成されるまでの過渡期においては、産婦人科医師の過剰な超過勤務・拘束に対して正当に処遇していただきたい。

3.上記を達成し、地域の周産期医療を崩壊させないためには、分娩料の適正化が必要である。

以上の提言を詳細な理由説明のあとに上げています。

一方で国会では柳沢厚労大臣が、2008年3月までに総合周産期母子医療センターを未整備の8県で稼動させると答弁したそうです。その中で「助言、指導や、補助金支給で早期構築を促す」とのこと・・・。

激しい温度差と言いますか、落差がありますね。厚労省がいくら助言、指導、補助金支給したところでどこから周産期専門の産科医、小児科医あるいは小児外科、眼科、麻酔科などの人材が集まるんでしょうか?医療は人です。予算をつけて箱物を作ったところで何の役にも立ちませんよ。専門医を育てるにも長い年月がかかるでしょう。

総合周産期母子医療センターの施設基準は産科医2人、新生児科医1人がセンター内に常時待機していることになっています。1人が月に5回当直するとして6人以上が必要です。労働基準法を適応するなら月5回の当直は確か違法でしたか・・・。産科医は2人当直となると12人は必要な計算です。これを全国に8施設、来年度中に稼動とは官僚もずいぶんと大きな事を言ったものですね。

本気でやるとしたら多くの地域から分娩できる施設がなくなることでしょう。

また、総合周産期母子医療センターがあれば満床、受け入れ困難が解消されると思っているならずいぶん甘いことですね。ハイリスク分娩を多く抱える周産期センターの多くはいつもいっぱいいっぱいです。

『先ず隗より始めよ』

産婦人科学会の提言にもあるように、先ず現在働いているDrを厚く遇する事が大事ではないでしょうか。専門医が育つには時間がかかるでしょうが、そうする事によって早急には無理でも自然と名馬は集まってくる事と思います。現在の乏しい産科、小児科のマンパワーで今以上の働きを要求されるなら、人は去って行ってしまいます。

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2006年10月28日 (土)

もう性教育?

なんだかヘンテコなうちの小1の次男。

夕食のテーブルを囲んでの会話です。

次男「ママ~~、エロ本って知ってる~?」

ママ「ぶっ・・・・。(いきなり何の話??)」

気を取り直して「次男は知ってるの~?」

次男「知ってるよ~。」

ママ「・・・。(まだ性教育してないのに、もう興味あるの?)」

次男「カンチョーの仕方が書いてあるんだよ。」

ママ「・・・。(カンチョーって??)」

次男「こうやって構えて。カンチョー!」

ママ「・・・。(ほっ、そのカンチョーね、パパいっつもやってるもんね)」

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2006年10月25日 (水)

親の権利とは2

前の記事にいただいたコメントを見て考えた事を追加します。

親の親権を一時停止し、医師が一時的ながら親権者になったことについて。
変な話ですが、新生児科医は親権者になる機会があります。赤ちゃんが捨てられるのはそんなに珍しい事ではありません。こっそりと病院の前に捨てられる事もあれば、出産前からいらないと母親が宣言し、お産が終わるとそのまま病院に捨てられる事もあります。わたし自身、そうやって捨てられた赤ちゃんの親になった事があります。28週の極低出生体重児を里親に引き渡すまで3ヶ月以上親代わりをしたこともあります。さあ輸血をしようかと思ってもすべて主治医の権限で決定し、責任をとらなければいけません。医師が親権者となることについて、新生児科医は慣れていてそれほど異常な状態とは感じないのかもしれません。

今回の件を考えるのに、日本未熟児新生児学会が出したガイドラインが参考になると思います。
「重篤な疾患を持つ新生児の家族と医療スタッフの話し合いのガイドライン」
1.すべての新生児には、適切な医療と保護を受ける権利がある。
2.父母はこどもの養育に責任を負うものとして、こどもの治療方針を決定する権利と義務を有する。
3.治療方針の決定は「こどもの最善の利益」に基づくものでなければならない。
4.治療方針の決定過程においては、父母と医療スタッフとが十分な話し合いをもたなければならない。
以下つづく

1にある適切な医療と保護を受ける権利そして3の「こどもの最善の利益」が大切です。3の注釈には家族や医療スタッフの利益ではなく、こどもの利益を最優先させることを家族と医療スタッフが確認すると書かれています。

今回の件は1および3と2が相反していると判断されたことになります。この判断がきわめて難しいものである事、医療者が勝手に判断してよいものではない事は当然です。現在の制度では医療者がまず判断し、児童相談所・裁判所が結論を下すことになります。わたしの意見としては、父母の決定が明らかに赤ちゃんの適切な医療を受ける権利に反していると判断した場合には今回のような親権剥奪が行われるのは正しいと考えます。この記事にある赤ちゃんの判断がどうだったかについては、病名すらわからず言及する事はできませんが・・・。

このような問題は医療者だけで議論すればいい事ではありません。現行の制度が万全とも考えられません。個々のケースで裁判所が判断すると言っても裁判官には荷が重すぎる気がします。今回の件をきっかけにさらなる議論が行われればいいですね。

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2006年10月23日 (月)

親の権利とは

朝日新聞の記事です
『脳に病気の乳児、親権停止し手術 両親、宗教理由に拒否』

 生まれつき脳に病気を持つ乳児の手術を宗教上の理由で拒否した両親に対し、大阪府内の児童相談所が昨年2月、「親権の乱用にあたる」として親権停止の保全処分を大阪家裁に請求し、6日後に認められていたことが分かった。医師が一時的に親権代行者となって手術を実施。乳児は現在、親権を回復した両親に育てられている。親権停止決定には通常数カ月かかることが多く、短期間での決定は異例という。

 乳児は昨年、関西地方の病院で生まれた。脳に異常が見つかり、医師が手術を勧めたが、両親は「神様にお借りした体にメスを入れることはできない」と拒否。乳児を自宅に連れ帰ろうとしたため、病院側が児童相談所に「ネグレクト(育児放棄)に当たる」と通告した。

 児童相談所は「手術をしなければ生命に危険が生じたり、重い障害が残ったりする可能性がある」と判断。親権停止の保全処分を大阪家裁に求めたところ、同家裁は緊急性を認めて6日後に処分決定した。手術後の3月下旬に児童相談所が請求を取り下げ、両親の親権が回復したという。

以上

この記事からは詳細不明ですが、自分も同じようなケースを経験しました。妊娠中に脳の異常に気付かれ検査で水頭症と判明、説明したところ治療は希望せずとなりました。分娩までの間、小児科、産婦人科、脳神経外科から何度も説明を重ね、最後は治療を希望する母親が反対の父親を押し切る形で手術することができました。手術をすれば命は救うことができます。しかし、知的にあるいは運動に後遺症を残す可能性もありました。

水頭症だけに限らず、先天性の心臓病やその他の先天奇形、時には超早産児でも治療希望なしとなるケースがあります。個々の例で事情は異なりますが、ほぼ間違いなく救うことができるのにかかわらず親が間違った選択をすることも実際に起こります。自分の患者ではありませんが、ファロー四徴症という先天性心臓病の手術を拒否され困っているDrから話を聞いたことがあります。

今後、親が明らかに間違った選択をし治療の承諾書に署名しない場合、親権剥奪が可能である前例ができたことになります。健康であると信じて疑わなかった赤ちゃんが重大な病気を持って産まれてきた場合、親の混乱はとてつもなく大きいものです。間違った選択をすることもあり得ないことではないでしょう。治療が急がれる際にこのような対処法ができたことはよいことと思います。

ただ、今回のケースのように赤ちゃんが両親のもとに帰れなくては困りますね。完全に親子が離ればなれになってしまったら、こんな不幸なことはありません。

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2006年10月19日 (木)

小・中学生の医療費都が助成

東京都が小・中学生の医療費を助成する方針を固めたそうです。
東京都では小学校入学前は患者の医療費負担はゼロ。小・中学生は3割負担のうち1割を都が負担してくれて、患者の負担が2割となるようです。
市町村レベルでは中学生まで無料の地域もありますが、都道府県レベルでは初めてだそうです。このための予算が年に30億円弱、これによって出産や子育てのしやすい環境を整えるとのこと。

助成してくれると言うのに反対する住民はいないでしょうが、どうなんでしょうね。小・中学生と言えば大半の子はもう丈夫になって病院にかかる機会なんて年に数回、ぜんぜん必要ない子もいるでしょう。お金の使い方がおかしいのでは?ここのところ小児慢性疾患と言う公的な医療費助成が縮小されています。自分も小児がんの時はこの制度のおかげで病院代を払った事はありませんでした。元気な子の年に数回しかない医療費を助成するよりも、慢性疾患で治療している子どもたちへの助成を厚くする方が人のためじゃないですかね。気管支喘息で治療中の子なんかは新しいくすりを出そうとすると、「値段は?」って聞かれますよ。

小児科医のひねくれた考えですが、医療費を助成することで薬局でかぜ薬を買うより病院に言ったほうが安いなんて事が生じます。いくらか高い時間外診療も助成があれば安くなります。東京都の小児救急がどれほどに疲弊してるかは遠くにいる自分にも伝わってきます。長い目で見て、お金は小児救急で働くスタッフを確保したりするために使った方がいいんじゃないでしょうか。

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2006年10月18日 (水)

産科医療の崩壊

たいへんな事が起きてしまいました。奈良県の町立大淀病院で母体がお産の進行中に脳出血となりおよそ一週間後に搬送先の国立循環器病センターで死亡しました。意識障害のある妊婦の緊急搬送を受け入れる施設を見つけるために2時間以上の時間を費やしたと報道されています。
産まれてきた子どもの顔を見ることもなく逝ってしまったお母さんは無念であったと思いますし、これから生きていくご家族もつらいでしょうね。心からご冥福をお祈りします。

報道によると、担当の産科医ばかりでなく、搬送を満床などを理由に断った病院についても刑事責任追及を検討するとされています。脳出血が脳のどこの場所のどんな程度のものだったのか報道されていませんから、産科医に母体死亡の責任があるのかどうかわたしには知る余地もありません。ただ、脳出血が死に至る可能性の高い病気であるのは間違いないですね。
今回の事で、満床を理由に搬送を断った病院の刑事責任追及を検討するとあったのには驚きを感じています。実際に起訴される事はないと思いますが、民事では市立川崎病院がけいれんの児を処置中であることを理由に窒息の児搬送を断った件で訴訟となり最近和解した事が報じられていました。
断った病院に非はあるのでしょうか?満床なのに患者を受ける事は大きな災害やテロでもない状態ではありえないでしょう。満床以上に入院患者を受け入れる事は法的に処罰の対象ですから。満床でない場合はどうか?今回の件を結果から判断すれば、周産期の専門医がいてNICUなどの設備がある周産期センターであり、かつ脳神経外科医がいてICUのある病院でなければ万全の医療を提供する事はできなかったでしょう。この条件で多くの病院が搬送先候補から脱落する事になります。逆に、この条件を満たしていて空床もあったなら絶対に受け入れる義務があるのでしょうか?例えば産科医、あるいは小児科医、脳外科医がマンパワー不足によって受け入れ不可と判断してはいけないのか?また産科医が子癇発作の経験が自分にはなく、能力的に自分では無理などと判断してはいけないのでしょうか?複数の重症患者を抱えている場合、空床があっても患者受け入れを断る事はあります。すでに今いる重症の患者への目配りが十分にできずに事故が起これば訴訟、逮捕を覚悟しなければなりません。

防衛医療と言う言葉が最近医師の間で使われます。医師が自分の身を守ることを第一に考える医療とでも言うのでしょうか。決して好きな言葉ではありませんが、若いDrへの指導の中で話す事があります。検査をたくさんしてくすりも強力なのを使って欲しいと望む患者は多くいます。医師は保険医として無駄な医療をしない義務があり、検査やくすりにはデメリットもありますから、熱血な若いDrは不要な事はしないと患者に説明します。しかし、診断がつねに100%というのはあり得ず、もし患者の希望を入れなかった事で見逃しが起これば事故となってしまいます。無駄な医療費を使い、放射線被爆などの検査によるデメリットも考えず、患者の言うがままの医療をしている方が安全。この考えは正しいと思いますか?若いDrは正しい事にこだわりますが、自分の身を守る事も考えておけと指導しなければいけないのは嫌な気持ちです。

地方の産科医療はこれまで一人一人の産科医によるぎりぎりの努力で支えられてきたのが、今年の福島大野病院の産科医逮捕によっていっきに崩れ去ろうとしています。地方の産科撤退に今回の事が拍車をかけるのは間違いないでしょう。さらに今回の件は産科医療のみならず、すでに崩壊の始まっている地方の救急医療をも完全に崩壊させる危険を孕んでいると思います。救急車を受け入れてみると自分の手に負えない、搬送先が見つからない・・・その先は想像になってしまいますが・・・。

もはや今の状態は医師や地方自治体それぞれの努力では解決不能のところに来ています。昨今の医療不信、訴訟の増加によって、医師のボランティア、善意で支えられてきた救急医療、地域医療は崩壊し、国のこれまでの無策が露呈してしまいました。マスメディアには事故の悲惨さを感情的に報道して終わりにするのではなく、今回のような痛ましい事故は起こるべくして起こった事であり、その原因は何なのか、対策はどうすればいいのか?未来に向けた建設的な報道をお願いしたいと思います。

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2006年10月15日 (日)

14日NHK「日本のこれから」

13日に続いてNHKで医療についての番組が放送されました。土曜夜のゴールデンですから、一般の方の目にも止まったことと思います。受け止めはどうだったでしょうね。よりよい医療を受けたいという漠然とした意見を持ち、あちこちで起こっている医師引き上げに対して自治体や病院に署名活動するだけでは何にもならないことを理解してもらえたでしょうか。

わたしの番組への印象をいくつか。
まず出演したDrの発言は立派だったと思います。特に済生会栗橋病院副院長本田宏氏の分析には多くのDrが共感したでしょう。疲弊した勤務医の実状、OECD加盟国との比較で日本の医師不足が明らかであること、医療費抑制が弱者切り捨てに直接繋がっていること、どれもわかりやすい的確なコメントでした。日本医師会長の唐沢氏は何のためにいらっしゃっていたのか?開業医代表としては発言できる場面がありませんでした。
患者さんも出演していましたが、C型肝炎、一型糖尿病、てんかんなどの慢性疾患で治療中の方の発言は重いものでした。どの疾患も働きたい気持ちがあってもなかなか健常者と同じ労働は難しいでしょう。
腹が立ったのは国際基督教大学教授で内閣の経済財政諮問会議議員を勤めている八代尚宏氏の発言です。てんかんの患者さんがてんかんを診療できる医療施設が国立病院の統廃合によって減少していることを訴えている時に、その言葉を遮った上で「市場の原理」を連呼していました。経済学に疎いわたしには八代氏の発言がうまく理解できていないのかもしれませんが、この場合の市場の原理とは?てんかんの診療を必要とする患者さんは多くいる、つまり需要が多ければ供給が増えると言いたいのでしょうか。自由な市場であれば需要が多ければてんかん診療の価格が上昇し参入する病院が増えると?その高くなった医療費を誰に払えと言うんでしょう?内閣のブレインと言える人物の発言です。こんな人物が改革を進める訳ですから、結果が弱者切り捨ての現状なのは当たり前なんでしょう。彼の目指す健全な市場社会とは誰のためのものなんでしょう?
医療ジャーナリスト伊藤隼也氏については意見を書くと過激になりそうなので止めときます(笑)。彼のような刺激的な発言をする人物は民放の番組には欠かせないのでしょうが、NHKがどうしてこんな人選をしたのか疑問です。

日本の国民皆保険制度がどれほどすばらしいもので世界に評価されているのか、もうちょっと突っ込むために先進各国の医療制度を紹介して欲しかったと思います。

蛇足ですが、映画「赤ひげ」について。医師の理想像の代名詞として「赤ひげ」が使われます。映画の細かい内容は覚えていないので、原作の話をさせてもらいます。赤ひげは江戸時代の幕府お雇いの医師です。今で言う国立病院の院長みたいな設定でしょうか。庶民から金を取らずに診療したわけですが、私費を投じていた訳ではありません。幕府からの金が足りない分は、大名などのお金持ちを診察し大金を取ってそれを庶民のために使っていました。これは番組の混合診療の松コース、梅コースのところで松コースを選んだ人が支払った大金を他の診療に役立てるとしたのと同じですね。また、原作には赤ひげは療養所の患者に慕われていたとはどこにも書いてないです。頑固な変わり者として描かれています。

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2006年10月14日 (土)

どうする医師不足

NHKで13日夜に放送されていました。7時半からだったので医療関係者以外の方も多く見たことと思います。どんなふうに一般の方は思ったでしょうかね。
救急、小児科、産婦人科の分野で問題になっている地域の病院が登場していました。わたしたちはもうよく知っている現状です。出てきたDrを見て大変そうだなとは思っていただけたでしょうが、きっと一般の方の感想は代表として出演していた尾鷲市の保育士さんと同じなんでしょうね。
討論の時間が短かったこともありましたが、厚労省医政局長(厚労省の医師の中でトップの役職、入省前に小児科研修医だったとか)も含めてよい解決策は出ていませんでした。厚労省は医師は不足していない、偏在しているだけとの立場でしたが、きのうはそんなふうには言っていなかったですね。
医師確保のための山形大学、宮崎県、岩手県の取り組みが紹介されていましたが、当面は各地域、各病院での医師確保競争となるんでしょう。もともと厚労省は病床数を減らす政策をしているわけですから、どこかで病院はなくなります。医師確保競争に敗れた地域ではこれまで同様の医療は受けられなくなるでしょう。でも、厚労省は絶対にこんな事は口にはしませんね。自治体、病院個々で解決できる問題ではないのにかかわらず、厚労省は責任を曖昧にしています。
今晩もNHKで医療についての番組があるようです。今日はDrも出演して討論があるようですから、こちらも楽しみにしています。

蛇足ですが、山形大学の医学部長がたいそう立派そうに取り組みについて話しているのを見て苦笑してしまいました。コンビニって・・・。当直の日も食べ物に困らないって言っていたDrが出てましたね。一般の方にはわかりにくいでしょうが、当直の日に食事が出ない病院がけっこうあるです。大学はもちろん、勤務したことのある公立病院でも当直医に食事はでていませんでした。そもそも大学では当直もボランティアでしたが・・・。時間外のオペの場合に手当が出ることも画期的なことかのように話していましたが、時間外で人を働かせるんですから×1.25の時間外手当支給は法律で義務づけられてます。内科系の医師に対する手当はどうしてるんでしょうね?

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2006年10月13日 (金)

歴史好き

わりと飽きっぽい性格の自分ですが、歴史好きは筋金入りで子どもの頃から今も変わりありません。うちの小3の長男にまんが日本の歴史を買ってやったら、ず〜〜っと読んでいます。長男は難しいことが好き、アメリカがイラクに攻め込んだ時はニュースを見て質問されて大変でした。お風呂の中でブッシュがど〜だ、フセインがど〜だやってました。最近は蘇我がど〜だ、仲麻呂がど〜だとお風呂でやっています。

小1の次男は兄とはずいぶんと毛色が違います。どうも難しい議論は苦手のようです。でも、最近はわかりもしないのに話に加わろうとするんですよね。

この間、長男と大化の改新は何時代なんて話していると・・・次男も必死に話に加わろうとしています。

「パパ〜、一寸法師は何時代だっけ?」

だいじょーぶか?次男! お兄ちゃんはお前と同じ頃、戦争が何で起こったのか考えていたぞ!

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2006年10月 7日 (土)

夜は真っ暗

きのうの晩、ちょっと事情があって帰宅がずいぶん遅くなり、深夜12時頃・・・。

うちの小1の息子、外に出ると・・・

「12時ってもっと暗いかと思った!」

小学生になってもなんか変なことばっかり言ってます。

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2006年10月 5日 (木)

臓器移植

生体腎移植での臓器売買について、毎日いろんな報道がされていますね。今年は中国で腎移植を受けた日本人が多いことも報道されていました。こちらは死体腎移植だったようですが・・・。臓器売買の倫理上の問題は明らかですが、命を金で買えるとなれば買おうという人がいてもおかしくはないんでしょう。藁をも掴みたい気持ちでいて、しかもお金があれば法や倫理に触れるとしてもやってしまう。自分あるいは自分の家族が同じ立場にいた時に絶対にそうしないでいられるかは正直自信がありません。
こちらは報道はほとんどされていませんが、ネットで海外での脳死心臓移植のための義援金集めについて話題になっています。子どもの心臓移植は法律上国内では提供者がいないわけですから国内では不可能です。海外へ臓器移植のために渡る日本人がいることはよく報道されています。自分の子どもがもし移植が必要になったら、たぶん自分はなりふり構わず海外に渡るだろうと思います。ただ、もっと大きな視点で考えてみると、移植で延命の望みがある多くの子どもたちが命を落としているのも事実です。身内だけで移植の渡航費用を工面できる家族もいるでしょう。友人に活動力のある人がいて○○ちゃんを救う会を結成してお金を工面できる家族もいるでしょう。ただ、そうじゃない家族も多いものと思います。移植をしてまで生き延びたくないという信念を持っているのならばそれはいいのかもしれないですが、お金があれば移植したいと思っていてもできない家族がいるはずです。命の重さに軽重はないと言っても、厳然として不公平は存在しています。世界に目を向ければ1億円のお金があればどれだけの発展途上国の子どもたちの命を救う事ができるでしょう。
臓器移植の事をいろいろ考えますが、自分の中でどうしても結論を出す事ができません。自分はまだしも、もし自分の家族が臓器移植を必要としたらどんな事でもするんじゃないかと考えてしまいます。矛盾から抜け出す事ができそうにありません。

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2006年10月 4日 (水)

看護実習生(闘病記6)

病棟には例年通り看護実習生が数人来ています。今来ている学生の中には男子学生も混じっています。いつも厳しい担当のナースも彼には何かいつもと違う雰囲気(笑)。やっぱり見た目も大事なの?

自分が入院していた頃にも病棟には看護実習生が来ていました。学生さんが担当するのは慢性疾患で、そこそこ落ち着いた病状の患者です。わたしも学生さんの担当となることがありました。いつも暇で暇で仕方ない病棟の子どもにとっては、いい気晴らしの相手になってくれます。その頃に担当してくれた看護学生で、いまだによく覚えている学生さんがいます。当時、大量に使ったステロイドの副作用で腰椎が圧迫骨折を起こして、ほとんどベッドの上で過ごす生活をしていました。そんな状態でしたが、腰椎穿刺(ルンバール)をしなければいけなくなりました。その日、主治医が不在だったため他のDrがやることになったのもあって、ものすごく不安になってしまいました。痛い腰に針を刺される恐怖と、いつもの主治医のDrじゃない不安とでパニックに・・・。腰椎穿刺はしっかりと患者が腰を丸めてくれないとうまくいきません。腰を痛がって丸まろうとしない自分を看護師も強引に押えつける事ができなかったんでしょう。結局その日は失敗となってしまいました。看護学生さんは処置の間ずっと必死な顔でわたしの手を握っていてくれました。その場ではまったく役に立っていなかった学生さんですが、その時の学生さんの顔や握っていてくれた手の印象は今でも鮮明に残っています。名前も覚えているんですが、今でも看護師を続けてるでしょうか?

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2006年10月 1日 (日)

医療過誤と刑事罰

ここのところ医者が集まるとこの話題になることがしばしばです。杏林大のわりばし事件、女子医の事件、そして今年2月の福島大野病院産科医逮捕。事件のたびにマスコミは医師をまるで犯人として扱う凶悪な記事を書いています。
つい最近、3年前東京で子どもが腸閉塞で亡くなった事件の小児科医が不起訴になったことが、一部で報道されていました。事件が起こった時のセンセーショナルな記事と比較するとひっそりとしたものです。杏林大、女子医の事件も業務上過失致死について不起訴となっています。
現場で働く医師にとってこれらの事件を自分と無関係と考えたものは皆無でしょう。わたしたち小児科、新生児科で働くものにとっても同様です。先週、豊橋市で気管支ぜんそくの男性に気管内挿管が遅れ患者が植物状態になった事件についても報じられていました。これは民事裁判ですから、刑事とはもちろん違いますが原告勝訴の判決が出ています。新聞記事によると男性の体型のため気管内挿管が困難だったと書かれていました。わたしたち新生児科医は未熟児の気管内挿管を日常的に行います。わたしも300g程度の赤ちゃんに挿管したことがありますが、非常に難しい処置です。経験の浅い医師では3000gくらいでも決して簡単ではないでしょう。未熟児は顔にマスクを当てての人工呼吸を有効に行うことが難しく、挿管しなければ迅速な蘇生ができません。今回の事件を考えると挿管に数分の時間を要して後に脳性麻痺となった場合、民事裁判では負けるでしょうし刑事罰に問われる可能性すら出てくるのでしょうか。うちの病院では未熟児の分娩の際はなるべく当直医だけではなく人を呼び複数の医師が立ち会うことにしていますが、もちろん時間がない時もあります。挿管が困難な児で挿管に手間どったら罰を受ける可能性がある。何とも切ない恐ろしい話です。

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