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2006年10月 1日 (日)

医療過誤と刑事罰

ここのところ医者が集まるとこの話題になることがしばしばです。杏林大のわりばし事件、女子医の事件、そして今年2月の福島大野病院産科医逮捕。事件のたびにマスコミは医師をまるで犯人として扱う凶悪な記事を書いています。
つい最近、3年前東京で子どもが腸閉塞で亡くなった事件の小児科医が不起訴になったことが、一部で報道されていました。事件が起こった時のセンセーショナルな記事と比較するとひっそりとしたものです。杏林大、女子医の事件も業務上過失致死について不起訴となっています。
現場で働く医師にとってこれらの事件を自分と無関係と考えたものは皆無でしょう。わたしたち小児科、新生児科で働くものにとっても同様です。先週、豊橋市で気管支ぜんそくの男性に気管内挿管が遅れ患者が植物状態になった事件についても報じられていました。これは民事裁判ですから、刑事とはもちろん違いますが原告勝訴の判決が出ています。新聞記事によると男性の体型のため気管内挿管が困難だったと書かれていました。わたしたち新生児科医は未熟児の気管内挿管を日常的に行います。わたしも300g程度の赤ちゃんに挿管したことがありますが、非常に難しい処置です。経験の浅い医師では3000gくらいでも決して簡単ではないでしょう。未熟児は顔にマスクを当てての人工呼吸を有効に行うことが難しく、挿管しなければ迅速な蘇生ができません。今回の事件を考えると挿管に数分の時間を要して後に脳性麻痺となった場合、民事裁判では負けるでしょうし刑事罰に問われる可能性すら出てくるのでしょうか。うちの病院では未熟児の分娩の際はなるべく当直医だけではなく人を呼び複数の医師が立ち会うことにしていますが、もちろん時間がない時もあります。挿管が困難な児で挿管に手間どったら罰を受ける可能性がある。何とも切ない恐ろしい話です。

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コメント

こんにちは

未熟児の気管内挿管は難しいですね。成熟児でも3.5mmが、なかなか入らないことがあります。このエントリーで紹介されたような医療訴訟が増えると、ちょっとした当直などもビビりながらしなければなりませんね...。

患者さんが亡くなるということは、医療者として重く受け取る必要があり、それを次に生かしていかねばなりません。しかし、「刑事罰を科すこと」でそれができるでしょうか?訴訟の場に持ち込まれた事例は、医療者側、患者側が全身全霊をかけて「法的」に勝ち負けを争うことになります。そこには都合の悪いコトをわざと無視して、「勝ちにいく」行動がみられるのではないかと危惧します。

患者さん側が勝訴することで、ある一定の「満足」を得ることができるとは思いますが、それで皆が少し幸せになるでしょうか?敗訴した医療者側はもちろん、あとに続く方達への貴重な知見が残せず、結局、社会にとってはマイナスになっていくような気がします。

そう考えると、現在の法制度で「医療を裁く」のは、かなり無理があるのでは?と感じます。長文になって申し訳ありませんでした。

投稿: befu | 2006年10月 1日 (日) 16時58分

第三者的な事故調査委員会のような制度が発足することを望んでいます。

投稿: 管理人 | 2006年10月 1日 (日) 17時36分

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