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2006年11月30日 (木)

未熟児新生児学会へ

日曜日から火曜日まで大宮で開催された未熟児新生児学会に出席してきました。北海道に住んでいるとなかなか研究会に出席できないのが悩みです。学会に行くといろんな刺激を受けることができますから、なるべく参加したいんですけども。こんな時には関東で働きたくなりますね。

埼玉県に行くのははじめてでした、通過した事は何度もあるんですが・・・。はじめて行く町をてくてく歩き回るのが好きなので、はじめて訪れるところはいつも楽しみにしています。今回はずっとパラパラ雨が降っていて、途中北海道とたいして変わらない寒い日もあって今ひとつでした。さいたまにはあまり観光スポットもない(?)ですし、ちょっと残念でした。来年は香川県のようです。四国にはまだ上陸した事がないので、楽しみです。

水曜日の朝一で地元に戻ってきてお昼に出勤、夜になって帰ろうと思ったところで新生児搬送の依頼がありました。病棟には少しだけ空きができています。その後、待てども待てどもなかなか到着せず、2~3年前にうちに救急者で搬送途中の赤ちゃんが交通事故で亡くなったことがあったのでだんだん心配になります。そのうちやっと連絡が・・・、道が凍り付いていて遅れているとのこと。無事に到着し、ひと安心です。戻って早々に疲れた一日でした。広い北海道の冬の搬送は大変です。他の地方の人には理解しにくいかもしれません。もうかなり前ですが脳症の搬送依頼があって待っていると、吹雪がひどくて無理と救急隊に断られたと再度連絡が来たこともありました。依頼元のDrの適切な治療で翌日搬送されてきた時にはすっかり安定していましたが。

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2006年11月20日 (月)

チャイルド・ケモ・ハウス

こんな夢のある試みが進行中のようです。少し前に新聞記事ではじめて知りました。

どんな試みなのか紹介しましょう。以下、事務局のブログのトップページから引用させてもらいます。

『チャイルド・ケモ・ハウス』とは小児がん治療中の子どもたちとその家族のQOL(Quality Of Life-生活の質)に配慮した日本で初めての専門施設設立を目指すNPO法人です。

「チャイルド・ケモ・ハウス」は、小児がん治療中の子どもと家族のための「夢の病院」設立を目指していますが、「病院」として既存の補助制度を受けようとすると、子どもや家族に配慮した施設づくりはさまざまな制約を受けてしまいます。

そこで、ハウスの建設にかかる費用は寄付によってまかない、できる限り制約のない環境の中で設計・デザインすることで、子どもと家族にとって本当に必要な施設の実現を目指したいと考えています。

施設の建設にかかる費用は、現在の想定で8億円です。また、設立後の日々の運営にかかる費用や、企業の方々からの日用品などのご寄付の申し出も受け付けています。

以上、引用終わり

小児がんで治療を受けた患者、家族にとっては、これがどんなにすばらしい計画なのかすぐにわかりますが、一般の方たちにとっては少し難しいかもしれませんね。詳しくはリンクした事務局のブログでカテゴリアーカイブの概要を見てください。

わたしは小児がんの治療中にトータルして1年半くらいの入院生活を送りました。当時は肺炎なんかの感染症の子がたくさん入院している病棟でしたから、抗がん剤で抵抗力の落ちている治療中の子は逆隔離でした。院内学級にも行けず、部屋からもほとんど出られない生活を長く強いられました。子どもにとっての1年半は短くはないですよね。友達と遊んだり、勉強したり、家族と過ごしたり・・・つらい治療を少しでも楽にしてくれるような環境を整えてあげられればと思います。

今回の試みは8億円の寄付を募って30床程度の病院としてスタートする計画との事です。この恩恵を受けられる子どもは少数かもしれませんが、大きな一歩になってくれる可能性はありますよね。実を言うとわたしも小児科医になってそれほど経たない頃に、同じように子ども病院を創りたいという計画を頭に思い描いていた事がありました。そんな想像をしていた事もすっかり忘れていましたけど・・・。

自分では実現できなかった事ですが、この計画を応援していきたいと思います。

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2006年11月12日 (日)

救急医療も危ない

ここ数日、あちこちの医療系ブログで話題になっている判決についてです。詳しい考察は他のブログに譲りますが、この判決にいかに多くの医師が衝撃を受けているのかより多くの人に知ってもらうために取り上げる事にしました。

産科医療崩壊にまつわる事件が相次ぐ奈良県での事件です。ただ、平成5年の事件ですから、もうだいぶ経っていますね。医療裁判には長い長い時間が必要となり、今回やっと高裁判決が出たようです。

判決文(PDF)

詳しくは判決文を読んでみてください。慣れないと読解が大変ですけども。

新小児科医のつぶやきに判決のあらましがありますから、そちらもご覧ください。

この判決には多くの医師が大きな衝撃を受けています。産科医療の崩壊がどんどん進んでいますが、他科の医師には直接関係する出来事ではありませんでした。しかし、今回の件は救急指定を受けている病院で当直をする多くの医師、当直のアルバイトに行っている医師などにすぐに広くかかわる大問題です。

この件で訴えられたのは当直をしていた脳外科医です。二人の交通外傷患者が同時に搬送され、他の医師に応援を頼むなどして処置にあたったものの二人とも不幸にも死亡されました。判決では当直の医師は脳外科医としては十分な処置を行ったと説明していながら、救急病院で当直するからには救急医療に対する高い技量が必要であり、それをクリアしていないとの理由で敗訴となっています。

上に紹介したブログのコメントにもあるように、多くのDrのショックは非常に大きいものがあります。わたし自身もこの判決に対する印象は同様です。救急を専門とするDrを養成してこなかった日本にはほんの少数の救急専門医しか存在しません。大都市の3次救急を担う基幹病院以外にはほとんど皆無といっていいでしょう。多くの救急病院は内科、外科、整形外科(時に小児科も)なんかのDrが持ち回りで当直しています。病院によっては耳鼻科、皮膚科などのいわゆるマイナー科のDrが当直していることもあるでしょう。こんな判決を突きつけられたら、わたしたちはどうしたらいいんでしょう。多くの医師は、救急医療の高い技量を持たないものは救急にかかわってはいけないのだと判断すると思います。そうしたらどうなるのか?すぐにわかる事ですが、ほとんどの地方から救急病院は姿を消すことになります。医療の進歩とともに専門分野における必要な知識、技術は増えるばかりの現状で、当直をしなければいけない医師すべてが救急医療に対する高度な技量を身につけることはほとんど不可能な事です。

「新小児科医のつぶやき」のコメントを見ていて、ハッとすることがありました。法律専門家のコメントに対してです。コメントしているほとんどのDrは感情的に、とんでもない事としてショックを受けわが身を心配しています。法律家の意見は至って冷静です。これは民事裁判の判決なんだから、敗訴といっても犯罪者になったのではないし、刑事と民事の違いは大きいのだという事です。恐らくこういった考えは弁護士も裁判官も一緒なんでしょうね。この点で、わたしたち医療者の感じ方とは大きな温度差があります。裁判官にとっては、この判決が現状の医療に対して大きな影響をもたらす可能性があり、地方の救急を崩壊させ多くの人命が失われる可能性すらあることも考慮する必要はないんですね。純粋に法的に解釈すれば正しい判決であり、それによって救急医療に問題が生じるならそれは現在の法律あるいは制度に問題があるからであり、それを正せばよいという事でしょうか。

一般の人にとっても救急車で運ばれる可能性はいつでもあります。医療制度について考えるのは医療者だけでよいのではないことを広く知ってもらいたいと思います。

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2006年11月10日 (金)

つづく満床

ここのところ悩みはもっぱらベッド繰りです。
多胎が重なるともうどうにもなりませんね。入院している双胎(双子のこと)が4組、さらに母体管理中の双胎、品胎(三つ子のこと)がいます。入れる保育器はもう残り一つなのに多胎なんてどうにもなりません。やっと保育器が空いたと思ったら普通のお産で生まれた赤ちゃんが思いがけず入院になったり・・・。
悩んでると多胎じゃないけど早産になりそうな妊婦さんの連絡が・・・。
母体を隣の施設へと思っても、100km以上も走らなきゃいけない地方ですから。家族の負担を考えると簡単には決断できないんですよね。ぎりぎりまでベッドの空き状況とにらめっこです。うちでのお産を断った時、恨まれちゃうんじゃないかといやな気分です。
朝日新聞に新生児では有名な施設のたくさんある神奈川県でもしばしば満床となることがあり、東京の病院にも断られ千葉県まで搬送というケースが多いって出ていましたね。
全国に周産期母子医療センターを整備したとしても絶対に断らなくてすむようにするには、波がある患者数の最大数に合わせてベッドを用意しなければいけません。普段遊んでいるベッドにもお金を払うことでもしなければ無理な話です。

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2006年11月 5日 (日)

夢をそだてるみんなの仕事

きのう外食した帰りに家族で本屋さんに寄りました。子どもの本コーナーで図鑑なんかを見ていると、講談社「決定版 夢をそだてるみんなの仕事101」という本が目にとまりました。

いろんな職業が紹介されていて、今現在その職業についている人が仕事の内容を伝える、そしてどうやったらその職業に就けるかまで書いてあります。有名人もたくさん登場します。松井秀喜、唐沢寿明、毛利衛、小野伸二など夢の職業に就いている人に混ざって、「医師」も紹介されていました。

どれどれ、どんな事書いてあるんだろう?本のタイトルは「夢をそだてる」ですから。

医科大学あるいは大学医学部を卒業して医師国家試験を受験し・・・細かく書かれていますね。
仕事を紹介しているのはペインクリニックを開業している麻酔科のDrのようです。
どうして医師を志したかなんて事が紹介された後、クリニックを開くあたりで・・・。

大学病院での勤務中は月に10回も当直する事があった→体を壊して入院→クリニック開業
の流れです。

苦笑。

これ、夢をそだてる仕事でしょうか?

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2006年11月 2日 (木)

自殺報道のモラル

ここ最近は連日自殺の報道でいっぱいです。新たな自殺のニュースを聞いても、頭を下げている校長や教育委員長を見ても気分は暗くなるばかりです。

かつて練炭による集団自殺が相次いだ時にもそうだったように、自殺は連鎖することが知られています。
それについてWHO(世界保健機関)が「自殺を予防する自殺事例報道のあり方について」(1999年)という勧告を出しているようです 。これについてわたし自身最近知ったばかりですが、昨夜のTBS NEWS23で筑紫哲也氏が多事争論の中で話題にしていました。途中からだったので詳しい内容はわかりませんでしたが・・・。

以下、NPO自殺対策支援センターのHPから引用します。

1)やるべきこと
・自殺の代わり(alternative)を強調する。
・ヘルプラインや地域の支援機関を紹介する。
・自殺が未遂に終わった場合の身体的ダメージ(脳障害、麻痺等)について記述する。

2)避けるべきこと
・写真や遺書を公表しない。
・使用された自殺手段の詳細を報道しない。
・自殺の理由を単純化して報道しない。
・自殺の美化やセンセーショナルな報道を避ける。
・宗教的、文化的固定観念を用いて報道しない。

○日本における自殺報道の現状
・個々の自殺の手段を詳細に報じる傾向
 例:X-Japanヒデ氏の自殺報道、ネット自殺報道、練炭自殺についての報道
→新しい自殺手段が入手可能であることを大々的に宣伝してないか?
→模倣自殺(ウェルテル効果)
・自殺を考慮中の人が読者に多数いることを前提とした報道がなされていない。
→そのような人々をサポートするメッセージ等がセットで紹介されていない。
   (例:相談機関連絡先)

最近の報道について、自殺対策支援センターから緊急のメッセージが出ています。
報道に携わっている関係者がこのWHOの勧告を知らないことはないでしょうし、知らないことも許されないでしょう。報道各社は知っていてそれを無視し、視聴者を引き付ける報道を行っているんですね。いじめ自殺を止められなかった教育関係者に対して罵声を浴びせる記者たち、それを電波に載せている局員たちは、報道が自殺を誘発している可能性が高いことについてどう考えているのでしょう。

いじめは子ども社会だけのものではなくなっていますが、いじめをする人間、保身のために事実を握り潰そうとする教育関係者、視聴率のためなら自殺者を増やすことも厭わないマスコミ、どれにも胸が悪くなります。

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2006年11月 1日 (水)

満床って?

奈良では母体搬送お断りが相次いだことが問題になりました。わたしが勤務する地域ではそもそも病院の数がそんなにありません。
いつでもかなり無理をして受け入れているのが現状です。なぜか今年は入院数が例年になく多く、ず~っといっぱいいっぱいの状況が続いています。前に清め塩のことを書きましたが、効果はなく忙しいままです。最近の病床稼働率は大きく100%を上回っています。保健所に知られたら業務停止のペナルティを課されそうなので数字は出しませんが、笑っちゃうような数字です。満床以上受け入れはイケナイことは承知してますが、地域の周産期医療のためにやってることですからお見逃しを。
誤解のないようにお断りしておきますが、うちが満床以上に受け入れているのは現在軽症の患者が多いからです。病棟の機能はマンパワーが最も重要です。軽症がたくさんいるのも大変ではありますが、重症患者に必要とするマンパワーは並大抵ではありません。うち程度のNICUでは重症が重なると満床に達しなくても受け入れを断らなければいけません。(とは言っても、お断りしたのはこの5年で2人だけ)患者さん受け入れをお断りするのは本当に後ろめたいものです。お断りした患者さんがどうなったかは気になるんですよね、後味の悪いことです。
前にお断りした時、満床ではあったものの保育器は空いていました。しかし、スタッフの仕事は限界をはるかに上回る状況でした。この時、病院の上の方とけんかになったんですよ。保育器が空いているなら入れろ!と言われて・・・。奈良の事件でいろいろな報道がされ医療関係者の怒りが爆発していますが、医療関係者であっても入れる保育器があるなら断る事は許さんなんて言う人もいるんですね。限界を超えて仕事をしていればいろいろなところに綻びができてきます。細かいインシデントが相次ぎ、限界と判断してのお断りだったんですが。あの時の自分の判断は間違っていたんでしょうか?
ホテルの空室じゃないんですから、単純にベッドが空いているかどうかと言うのとは違うと思うんですけど・・・。

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