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2007年1月17日 (水)

ネットと医療

書いてみてタイトルが少し大袈裟かなと思いますが、取り合えずそのままで。

わたしが勤務するのは北海道の中でも人が疎らな広大な3次医療圏をカバーする基幹病院です。百数十キロも離れた町から通院している患者さんも多くいますが、3次医療圏すべての人口でも30数万人にしかなりません。都市部では2次医療圏に相当する程度の人口です。
ネットの普及によって玉石混交ではあるものの、情報は全国津々浦々で大差ない状態となりました。何か情報を得たい時にパソコンのスイッチを押す人は、今や本を開いたりする人より多いでしょう。ところが、医療は全国どこででも都市部と同じものが提供されているわけではありません。3次医療圏の基幹病院であれば、本来は各分野の専門医が配置され、365日24時間体制で医療が提供されるはずです。それは100万人程度の人口をカバーする病院だからこそ成り立つわけです。北海道では札幌圏を除いて100万人の医療圏を作ろうとすると、トンでもない広さになってしまいます。結局のところ、2次医療圏の基幹病院のレベルで3次医療圏の基幹病院としての医療を担うことになってしまいます。

病院を受診する前にたくさんの情報を集めている患者さんが増えてきました。専門医の診察を受けたい、専門的な治療を地元で受けたい。いつでも小児科医に診察して欲しい。ここのところ要求はどんどん高まっている印象です。うちも基幹病院と呼ばれる事はあるものの、それ程の機能を持っているわけではありません。ネットで読んだ治療を受けたいと言われる事もでてきました。高まる要求につらい思いをする機会が増えています。患者の陳情を受けて専門医の診療体制を!なんて病院にねじ込んでくる勘違いした市議会議員もいるようで・・・。

この地域の医師が減少し、救急体制が危うくなる可能性すらあるのに、このギャップ・・・。市議会議員のブログに、病院に要求したことを自分の手柄のように書いてるのを見て気分悪くなりました。

日本では田舎でも診療所があちこちにあって、専門的ではないものの医療が提供されきました。悪い言い方ですが、それなりの医療であれば地方でも身近にあったわけです。しかし、患者がそれなりでは嫌だ!と主張する事が多くなったために医療の集約化が始まっています。Drコトーが何人いたら要求が満たされるんでしょうか?北海道では桧山支庁から分娩施設がなくなったと報道されました。2次医療圏から分娩施設が消え、1時間半かかる函館に行かないとお産ができなくなりました。

入院した子どものお父さんにできるだけ丁寧にわかりやすく病気を説明したところで、「どうですか?何か質問はありませんか?」と聞くと、「昨日ネットで見たのと大体同じだから。」なんて言われて質問はなし、何だか複雑な心境です。

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コメント

最近はネットで医療情報を探される方が多いのですが、それには危険もまた伴っていると思っています。
ネットの情報には誤ったものや極端なケースも多いので、見極めるのが難しいです。

たとえば知り合いの女性は、喉の違和感の原因が病院ではなかなか分からず、ネットで症状をたよりに情報を探しまわって、自分は喉頭癌ではないかとの不安にさいなまれるようになりました。
正しい医療情報と、医学的根拠のない情報、そして悪質な詐欺的情報が並列で出てしまうのが、ネットの問題でもあります。

ネットからより良い医療情報を広く発信する。それが私の関わっているMELITの目的のひとつです。といっても、まだまだ、そこにはたどり着けないのですけれど。

投稿: 石田優子 | 2007年1月18日 (木) 09時00分

ネットで情報を得ようとすれば、誰でも、それこそ学会の最新の情報が得られます。しかし、そんな断片的な情報を素人が得ても有効に扱えません。やはり、その背景となる莫大な知識と経験がないと有効に扱えません。中途半端な知識は反対に悲惨な結果を招きます。

ですから、「こういう情報が書いてありましたけど、先生はどのように思いますか?」程度にしておくのが望ましいと思います。


最近、門外漢の「とあること」で専門家とよく話し合うことが多いので、そういうことを強く実感しています。やはり、適切な専門家にお任せするのが一番無難かな、と思います。(ただそうなってくると、任せた結果、多少の問題があっても不問に伏す必要が出てきますが)

投稿: 暇人28号 | 2007年1月18日 (木) 12時22分

ネットにしても新聞の一面の下に広告が出ているような書籍にしても、悪質な情報はたくさんあるわけですが、取捨選択は専門家じゃなければ難しい。口コミでも何でもおかしな情報はたくさん入ってきますからネットだけの問題とは言えませんが、ネットのアクセスの良さ手軽さ情報量は他と違いますね。

エントリーの補足ですが、複雑な心境になったのは
ネットの情報>主治医の説明
と言うニュアンスがこちらが感じたからです。
情報を集める行為を非難したのではありません。

投稿: 管理人 | 2007年1月18日 (木) 18時53分

 おっしゃるとおりネットの情報を医者からの説明より重要視されるとやる気がなくなりますね。

 私の場合、こちらの得意分野を宣伝し他病院との差別化を図るということでネットを利用すると同時に、患者さんへ説明した後「どうぞネットでもお調べ下さい。疑問があればなんなりとどうぞ。」というネット利用をしています。当院には患者さん対象の図書館もあり、そこでネット検索もできますので、外来通院の帰り間際に検索していく方もいらっしゃいます。最近は近隣の大学病院からネット情報を見て転院してくる方も多くなりました。

投稿: クーデルムーデル | 2007年1月19日 (金) 10時50分

ネットには功罪あるんでしょうが、これからよい方に成熟していくといいですね。
わたしがホームページをはじめて今年で10年になりますが、ずいぶん変わりました。当時はネット犯罪なんてまったく(ほとんど?)なかったですし。

NICUに赤ちゃんが入院しているお母さんたちは、ネットを見ている人が多いようです。でも、なかなか日本語のサイトで勧められるトコがありません。アメリカの大学のサイトなんかで充実しているトコの情報量はすごいですよね。

投稿: 管理人 | 2007年1月20日 (土) 19時42分

ネットの情報も主治医のお話も・・シッカリした・・耳で聞き取り
なるべく・自分の言語・?・・に置き換えてから理解しようと
ツトメレバ・・自然淘汰・・されるのでヮ・・ないでしょうか・・?・・
ナンデも一応聞いてみる・・ナンデも一応疑ってみる・・って
ソレがイロンナ病気をした私の・・1つだけ絶対・・!!・・って
云えるコト

投稿: 台所のキフジン | 2007年1月21日 (日) 09時22分

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