小児科医の過労死
以下は2月23日北海道新聞からの引用です。
『小児科医死亡は過労死 時間外、月100時間超 道労働局認定』
道北の公立病院などに勤務していた小児科医の男性=当時(31)=が突然死したのは、月百時間を超す時間外労働による過労死だとして、遺族が旭川労働基準監督署に労災を申請していた問題で、北海道労働局は二十二日までに、労災と認定し、遺族補償年金の支給を決めた。医師の過労死認定は全国的にも極めて珍しい。医師不足の原因の一つとされる勤務医の過酷な労働実態の見直しを求める声が、さらに強まりそうだ。
男性医師は二○○二年四月から○三年七月まで臨時職員として、○三年八月から正職員として、公立病院に勤務。同年十月に富良野市の民間病院に移ったが、六日目に自宅で突然死した。
遺族や関係者によると、男性は公立病院で、一市三町(当時)の小児救急を他の医師二人と共に支えていた。午前九時から午後五時の通常勤務に加え、泊まり込みの当直が月三−四回あった。さらに救急患者のために待機する当番が月二十−二十五日あり、多い日で一晩に五回呼び出されたという。月の時間外勤務は平均百時間を超え、休みは月に一、二日だった。
小児科の救急外来には毎晩平均五人の患者があり、男性の当時の上司は「患者数に比べ医師が足りなかった」と打ち明ける。
また、富良野の病院ではわずか五日間で三十二時間の時間外労働をしていた。突然死する前日の夜も呼び出しの電話で飛び起き、病院に向かったという。
遺族は「『僕が死んだら働きすぎだから』ってよく冗談で言っていました」と振り返る。
国は業務と疾患の因果関係を認める基準として「発症前二−六カ月間、月八十時間を超える時間外労働」を挙げているが、医師の死亡前一年間の時間外労働は毎月百時間を超えていた。
労働局労災補償課は「労災保険の対象外の公立病院正職員だった二カ月を除く期間で、過重負荷の労働があったと判断した」と説明している。
申請を担当した高崎暢(とおる)弁護士(札幌)は「あまりに過酷な勤務であり、(職場管理者が)事前にやめさせるべきだった。労災認定は当然」と指摘。医師が勤務して「た公立病院長は「今は取材に応じられない」と話している。
以上、引用終わり。
同じ北海道の小児科医のことです。面識はありませんが、大切な仲間を失った気持ちです。ご家族には心からお悔やみ申し上げます。
わたしはたまたま巡り合わせで、少人数の小さな小児科で勤務した経験がありません。これまでもっとも月の当番が多い時でも15日程度でした。これでも十分異常なことですけど。しかしながら、20〜25日の呼び出し当番なんて当たり前との声も地方の医師から聞こえそうです。地方勤務の医師にとってこの位の勤務状況は特別でないほど過酷なものです。
弁護士のコメントは「あまりに過酷な勤務であり、(職場管理者が)事前にやめさせるべきだった。労災認定は当然」とのことですが。さてどうすればよかったんでしょうね。
第66回労働政策審議会労働条件分科会で使用者側委員の奥谷禮子氏が有期労働契約や管理監督者の扱いの議論の中で、過労死の問題について「自己管理の問題。他人の責任にするのは問題」「労働組合が労働者を甘やかしている」と発言しています。安倍政権の労働政策を決める立場にある委員の考えとしては恐ろしくなりますね。八代氏といい柳沢氏といい、安倍総理の人を見る目は失格としかわたしには思えません。
道北の公立病院小児科医は呼び出しがあっても、疲れているからとの理由で診療を断ることが可能だったんでしょうか。職場管理者が事前にやめさせるべきだった、との点は3人小児科医がいて(どんな年齢構成かは?)このDrのオンコールが月20〜25日だったことから考えて責任がないとは言えないかもしれませんが。でも、3日に1回のオンコールとしても、その度に5回も呼び出されたら中年以降のDrなら過労死しそうです。
いずれにしても、多くの地方公立病院の勤務医は過労死したDrとほとんど変わらないような過酷な勤務を強いられています。この現状から逃れるには地方から立ち去るしかありません。病院管理者にどうにかできるとすれば、時間外診療中止を宣言することでしょうが不可能に近い話です。「Drコトーはいる」と見出しを書いた道新に責められてしまうでしょう。
国の政策として、地域医療の中でもっとも重要な位置にいる地域の基幹病院、地方の公立病院で勤務している医師に対する待遇を改善することが急務と考えます。過労死したDrが勤務していた病院で、週休2日、認められる範囲での時間外労働での勤務を義務づければ恐らく倍のDrを必要としたでしょう。国やマスコミが言うように、医師の都会あるいは過重労働の少ない診療科への偏在だけで医師不足を説明できるのでしょうか?やはり医師の総数を増やすこと、コンビニ化した時間外診療を必要な患者に制限することなど多方面に渡る手当てが必要な緊急事態ではないでしょうか。
わたし自身も過労死を意識するほど酷い状況になったこともあります。重症患者に対する治療での過労死なら、板橋の警官が殉死した痛ましい件のように家族も理不尽なものとは考えないかもしれません。しかし、さほど受診の必要がないコンビニ化した時間外診療のために仲間や家族が過労死したなら、これはとても許せるものではありません。
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