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2007年2月 3日 (土)

長野県立こども病院

長野県立こども病院の小児救急を一般患者に開放するかどうかについて、前院長が辞職するなどのトラブルになっているのは知っていました。今回こんな記事を見かけました。信越放送によるものです。

『県立こども病院の検討会、経営改善求める意見相次ぐ』

田中前知事が一般の外来患者の診療を始める方針を示した、安曇野市の県立こども病院のあり方を考える2回目の会議が開かれ、病院の経営改善を求める意見が相次ぎました。

松本市で開かれた検討会には、県の医師会や信大病院の医師、それに患者の会の代表ら13人の委員が出席しました。

この中で、県の担当者がこども病院が抱える累積赤字が昨年度末で17億円あまりに上ることや、医師1人当たりの1か月の超過勤務手当が35万円と、他の県のこども病院に比べて突出していることなどを報告すると、委員からは経営改善を求める意見が相次ぎました。

これに対し、こども病院の宮坂勝之院長は「超過勤務が非常に多いとは思ったが、今後、病院全体でどうするか考えていきたい」と、内部でも検討する考えを示しました。

この会は、医師や患者などこども病院に関わるさまざまな立場の人が意見を出し合って、病院のあるべき方向を検討するもので、次回は来月15日に開かれます。

以上、引用終わり

長野県立子ども病院と言えば、「電池が切れるまで -子ども病院からのメッセージ-」と言う本で有名です。ここで亡くなった神経芽細胞種の子どもが書いた本で、のちにドラマ化されました。われわれ小児科医から見ると、小児がんの診療はもちろん小児循環器や新生児などの分野でも臨床、研究ともにすばらしい実績を残しています。やや記憶があやふやですが、赤字になることを見越してこの病院を作ったのはオリンピックもやった田中康夫知事の前任の方だったと思います。高いレベルを求めて全国から小児科医が集まっており、この病院によって長野県の新生児死亡は激減するなど結果を残してきました。

この記事ですごく不可解なのは、「医師1人当たりの1か月の超過勤務手当が35万円」と他のこども病院よりも高く「委員からは経営改善を求める意見が相次いだ」の部分です。推測ではありますが、多分間違いなくこの病院のDrはそれだけの超過勤務をしていたんでしょう。さて、経営改善とは?どうするの?

医療のレベルを下げてみんな定時に帰宅する。
超過勤務はボランティアにする。
超過勤務が必要になるような重症疾患を他県から受け入れるのを中止する。(ここは他県から重症の先天性心疾患などの児を受け入れ治療しています)

皮肉っぽいですが、わたしにはこんな事しか思い浮かびません。恐らく他県のこども病院のDrは超過勤務をボランティアでやってるんでしょうね・・・。
赤字を承知でこどものために医療を提供してきた長野県のやり方を、わたしは以前からうらやましく思っていました。県民の評価はどうなんでしょうね。ここで身も心もすり減らして働いてきたDrの今の気持ちを思うと同情してしまいます。

こども病院が救急をやるのかについては、現状不可能と思いますが必要な医師数を確保して過重労働なしに運営することができるのであれば賛成です。経験あるパラメディカルを含めたスタッフを揃えたこども病院が救急をやることのメリットはありますが、すでに月35万円の超過勤務をしているDrに救急をやれとは言えませんよね。

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コメント

こんばんは
久しぶりにコメントさせていただきます。

>こども病院が救急をやるのかについては、現状不可能と思いますが必要な医師数を確保して過重労働なしに運営することができるのであれば賛成です。

そうですよね...。でも世間一般の方々は、『なんで救急はやらないの?』という感覚です。現状を見据えた上での施策が望まれます。

>ここで身も心もすり減らして働いてきたDrの今の気持ちを思うと同情してしまいます

同感です。

投稿: いなか小児科医 | 2007年2月 5日 (月) 00時27分

 長野こども病院でも救急診療をしていないのですね。これがあるのとないのでは大違いですからね。精神的にも肉体的にも疲れが全く違います。都立の小児病院時代は救急でヘトヘトでした。なにに重点を置くかで違ってくるので、こども病院クラスが一次救急を担当すべきかとなると、僕は三次救急の役割を担ってくれるだけでよいと思いますが、どうなのでしょうか。

 それにしても未熟児新生児学会主催の夏の研修会で安曇野に行き、その帰りに初めて長野子供病院を拝見した時の素晴らしい施設だと感動を覚えた記憶が蘇ります。

投稿: クーデルムーデル | 2007年2月 5日 (月) 13時00分

>いなか小児科医さん
ほとんどの住民が、赤字を出しているこども病院の恩恵を受けられないことに不満のようですね。テレビで白血病や未熟児のドキュメントを見ても、その場かぎりカワイソーで終わってしまう。家族が重病になる事を想像できないのが問題なんでしょうね。子どもが白血病で入院していて、主治医が外来でかぜの子を診ているためになかなか病棟に来られない。そんな想像すらできないのか、と思ってしまいます。

>クーデルムーデルさん
長野で問題になっているのは救急に限らず、紹介状を持たない一般診療を行うかどうかのようです。詳細はわかりませんが、紹介状を持った重症児は当然受け入れられているはずです。

投稿: 管理人 | 2007年2月 5日 (月) 19時41分

超過勤務35万円、おまけに長野県立こども病院は管理職である
副院長まで堂々超過勤務手当てを申請していた。卒後5年目の
レジデントの給料が院長の給料より高い病院はここ以外にないで
あろう。

投稿: とある小児科医(非内部者) | 2007年7月 4日 (水) 18時42分

追加です。

「こども病院は現在のように三次救急の役割を担ってくれればよい」と考えている皆様、本当にこども病院が小児の三次救急を担っているとでもお考えか?長野県の小児の死因第一位は「不慮の事故」なのに、こども病院が事故で三次救急となった患者を診てくれているのか? 診てないじゃないですか。

第一、こども病院に三次救急患者を紹介している小児科医自身がこどもの事故に対して無関心で、「事故は外科でしょ?」と思っているからダメなんですよ。子どもの外傷を引き受ける救命救急センターの医師たちは、「こども病院って、結局自分の診たい患者しか診ないんだよね・・・」と半ばあきれ気味ですよ。

投稿: とある小児科医(非内部者) | 2007年7月 6日 (金) 19時05分

返事が遅くなりました。とある小児科医さん。

あなたはこども病院にどんな役割を期待しているのでしょうか?

卒後5年目といえば普通は病棟でもっとも戦力になる年代でしょう。それだけ働いているなら院長より高給でも問題ないのでは?理想はそんな時間外手当をもらわなくて済むように医師を増員することでしょうが。

三次救急をだれがやるかは、日本の医療の構造的問題ではありませんか?北海道の三次救急病院には救急医がいないところも多いですよ。長野の状況はわたしにはわかりません。

投稿: 管理人 | 2007年7月21日 (土) 22時51分

今子供病院に入院してる者です
医療道具がなくなったことで容疑にかけられていますこの場合誤解をとくにはどうすればいいですか後その時に看護師に無断でカバンや引き出しをあさられました訴えていいんですか?

投稿: 子供病院患者 | 2015年9月29日 (火) 18時02分

できるだけ早く返事をくださいこのままだと今週の土日に強制退院させられます

投稿: 子供病院患者 | 2015年9月29日 (火) 18時37分

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