« 2007年2月 | トップページ | 2007年4月 »

2007年3月31日 (土)

北海道の小児科医の現状

この間のテレビ放送ですが、ネットで動画が配信されています。

http://www.news24.jp/category07/2007/03/30.html

密着されているのはうちの若手です。入局1年目と紹介されていますが、臨床研修を終了した3年目のDrです。

当直などと言うものではなく夜勤であることがわかってもらえるでしょうか。うちは集約化によって人数が多くなるからまだマシですけど、同じマチの公立病院小児科のDrはこの4月からテレビ取材の日のような救急指定を月に7日もこなさなければいけません。そちらのDrが燃え尽きてしまわないか心配です。

これ見るとわたしの素性がわかってしまいますが、まもなく退職なのでいいですね。よ~く見るとわたしも映っています。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2007年3月23日 (金)

更新滞ってます

異動が近づいてきました。ただ4月にずれ込んでの異動となるので、もう少し余裕があります。

ここのところ大事はありませんが、いろいろ落ち着かない毎日です。週2回のペースで当直をこなしていますが、毎回忙しくてわずかな睡眠しか取れません。残務整理は当直の夜にと思っていたものの、そんな暇はぜんぜんない状態でした。さすがに多少慌ててきたところです。

今日は市の健診に行ってきました。毎月行っていた健診もこれが最後だったので、保健士の課長さんが出てきて話をしました。その中でわたしがNICUを立ち上げてから肢体不自由児が減ったのを保健士は実感していると話してくれました。こんなにうれしい言葉をもらって6年間がんばってきてよかったと思いましたよ。重患がいて疲労で辛い時、赤ちゃんとその家族の一生を今自分が背負っているんだと自分に言い聞かせて気力を奮い立たせて働いてきました。赤ちゃんの家族だけでなく、客観的に自分の仕事を評価してくれる人がいたなんて、感激です。

先週はテレビの取材がありました。北海道ローカル局ですけど。北海道内の小児科としては集約化するはじめてのケースですからね。どんな趣旨で放送するのかディレクター(?)に聞いてみましたが、教えてくれません。24時間密着とのことで、密着するは一番若いDrにしました。どんな放送になるのかわかりませんし、疲弊する小児科医がテレビに映っても、それで無駄な時間外受診が減るとも思えません。でも、このブログで細々と辛い実態を綴っているよりは効果がありそうですから協力する事にしました。1日しかない取材ですから暇だと困るなあなんて話していたのですが、どういう訳かとんでもなく忙しい1日になりました。「やらせ」「演出」などまったく不要で疲弊する小児科医を地でいく状態でした。若いDrの奮闘を撮ってもらうつもりでしたが、日付が変わる頃まで自分を含めて3人が救急外来と病棟に張り付きになりました。さすがにディレクターも同情的な顔をしてましたね。ところがこのテレビクルー、24時間密着と聞いていたのに1時を過ぎる頃には帰ってしまいました。24時間密着取材は過重労働ですから、けっこうな事です。夕方からはじまった取材は翌日も続きました。当直のDrは徹夜明けもそのまま勤務が続きます。放送は番組内の一コーナーだそうで、5分くらいしかないらしいです。少しでもひどい実態が世間の人にわかってもらえるといいんですけどね。医者は昼も夜も献身的に働くのが当然という考えがいかにおかしいかわってもらえるでしょうか。わたしたち医師はやりがいを感じれば結局いくらでも働くんですけどね。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2007年3月10日 (土)

お誕生日

かぜでゼーゼーして小児科に入院中の子が今日1歳の誕生日でした。

1年前、生まれた時はものすごく小さくて、重症感染もあってひどい状態でした。よくて在宅酸素かね、なんて声も聞こえる中で主治医(←わたし)はがんばりましたよ。

数日前、入院中におすわりができるようになったと、お母さんは晴れやかな表情。本人はおすわりして、目をキラキラさせて「あーあー」ご機嫌でしゃべっていました。

こんなお母さんと赤ちゃんの顔を見ていて、やはりこの仕事はできる限り続けたいなと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (4)

2007年3月 6日 (火)

医者一人の養成に1億円

別に揚げ足を取ろうとしてるわけでもないんですが、ここのところマメに地元紙を読んでいます。

今日は市議会で地域医療の答弁が行われたと、1面に出ていました。その中で市長が「国公立大学での医者一人の養成に一億円以上の公費が使われており、地方公立病院勤務を義務付けるのも当然」(←細かい言葉遣いは忘れました)との発言がありました。医者一人一億円という迷信(?)はわたしも確かに聞いた事あります。
でもこれって明らかに迷信ですよね、この話の元ネタは何なんでしょう。だいいち一億円もかかるはずがない。医学部の役割はもちろん医師養成でありますが、医学研究や高度医療などたくさんの他の役割も担っています。医学部は専門学校じゃないんですから、どこまでが学生のための経費なのか難しいでしょうけど。
そもそも医師養成のための専任の教官なんてまったくいませんし、いたとしても気の毒な給料、医学部の講堂は古くてぼろぼろ、換気が悪くて臭いし暑いし、真面目に講堂にいた自分には嫌な思い出です。今は卒業生の寄付(公費じゃなく)などで講堂は新しくなってますね。学生時代を思い浮かべて一億円は絶対うそと確信を持てます。

この言葉で市長の中の医師に対する考えがはっきりした気がします。近頃の公立病院の崩壊はすさまじいものがありますが、市長や市議会を通さなければほとんど何もできない市立病院には生きる道はないですね。

いったいいつから国立大学を出たら国にボランティアで奉仕することが義務付けられたんでしょう。私立大学にもかなりの公費が注がれているはずじゃないですか?

医者に対する間違ったイメージはどうにかならないものでしょうか。

| | コメント (7) | トラックバック (1)

2007年3月 4日 (日)

また民事裁判のお話し

毎日のように医療過誤訴訟の記事が新聞にでています。一つ一つ取り上げるつもりはありませんが、産科医がからむ民事裁判の記事は本当に多いですね。現在の産科崩壊につながる昨年の福島県大野病院産科医師逮捕のように重大な事ではないかもしれませんが、この民事裁判の多さも分娩施設減少に少なからぬ影響を与えていると思われます。
いつものように新聞記事からでは事の詳細を推測することは難しいですが、わかる範囲でまた書いてみます。ブログにこんな事を書くことに意味があるのかとも思いますが、ここには医療関係者以外もいくらかは訪れているでしょうから無駄にはならないですかね。

以下は毎日新聞からの引用です。

大和市立病院損賠訴訟:出産後に障害、市に1億4250万円命令−−地裁 /神奈川
 ◇担当医の過失認める
 大和市立病院(大和市深見西)で97年に仮死状態で生まれた男児(10)=東京都町田市=が手足のまひなど重い障害を負ったのは、同病院の担当医師が適切な時期に帝王切開しなかったためとして、男児と両親が大和市を相手取り損害賠償を求めていた訴訟で、横浜地裁は28日、同市に計約1億4250万円の支払いを命じる判決を言い渡した。三木勇次裁判長は「担当医は速やかに帝王切開の準備を始めなかった」と過失を認めた。
 判決によると、母親は97年2月24日午後9時ごろ、胎児の心拍数が一時的に低下する症状が表れ始め、同40分にも再発したため担当医師が帝王切開を決定。午後11時ごろ、帝王切開で男児が生まれたが、手足のまひや発達遅滞の後遺症が出た。
 三木裁判長は「午後9時ごろには既に胎児の心拍数が一時的に低下する症状がみられ、帝王切開の準備を始めるべきだった」と指摘。さらに「帝王切開決定から実施まで約1時間16分要し、遅きに失した」と述べた。【伊藤直孝】

以上、引用終わり。

裁判長が指摘する問題点は1. 胎児の心拍数が一時的に低下する症状が出現した時点で帝王切開の準備をするべきだった 2. 帝王切開決定から実施まで1時間16分を要したのは遅すぎる の二点です。
一つめですが、今いくつか文献を見てみると胎児の心拍数が一時的に低下する症状出現率は全部のお産の中で30%程度にはなるようです。つまり、ほとんどの場合は胎児の心拍数が一時的に低下しても何の問題もないわけです。胎児心拍数が一時的に低下したら帝王切開の準備をとなれば、大変なことになるのはわかりますね。ただ、遷延性一過性徐脈(長く続く心拍数の低下)などのケースでは通常すぐに帝王切開が決定されます。今回のケースがどちらなのかはわかりません。二つめの帝王切開実施までの時間ですが、一般に30分以内が高度な役割を持つ周産期母子医療センターでは合格点とされています。周産期母子医療センターの認定基準は帝王切開の緊急実施を意識して、産科医が常に二人当直していることとなっています。ただ、麻酔科医の規定はなく、夜間であれば麻酔科医やオペ室看護師は呼び出しとなってしまいます。わたしの病院では火災訓練のようなシミュレーションまで実施し、ほぼ30分以内が実現されています。しかしながら、周産期母子医療センターではない病院では何分が合格点と言えるのでしょうか。この裁判長は1時間16分は不合格と認定したわけです。抜き打ちで検査を実施したらかなりの病院が不合格となるでしょうね。よほど慣れた周産期母子医療センターや、逆に小さな開業医で普段から少ないスタッフで麻酔科医なしで帝王切開をしている所では合格が多いかもしれません。

民事裁判では過失の程度をお金に置き換えるわけですが、これで1億4250万円は驚きです。明らかな過失でなくともこれだけの責任を求められるのは、バランスを欠いていると思われます。アメリカでは産科医の払う保険額が高騰しており、州によっては年額10万ドルにもなるとか・・・。日本では弁護士が増えていくとこの先どうなるでしょうか?お産は自費診療ですから、この負担は分娩費用に加算されることになります。

最後にマメ知識ですが。
この記事には胎児仮死という言葉は登場してきませんが、現在正式に胎児仮死の言葉は使用されていません。昔使っていた胎児仮死は英語でfetal distress、ちなみに新生児仮死はneonatal asphyxiaです。日本語で仮死は一緒ですが、英語では違います。胎児仮死は簡単に言うと、胎児が苦しがっているかもしれない程度の状態を表しており、誤解を招くとのことで使用されなくなりました。正式には胎児ジストレスとするとなったはずですが、普及していません。意味わかりませんから。アメリカではさらにfetal distressが“non-reassuring fetal status”に言い換えられています。こちらは安心できないと言うような意味ですが、まだ日本語は当てられていません。お腹の中の赤ちゃんが元気かどうかをしっかり判定するのが困難なのは現代医学でも変わりません。病院でのお産は「自然でない」のを理由にマスコミに避難されることもありますが、胎児の心拍数低下をどんどん帝王切開していたらとんでもない帝王切開率になってしまいます。産科医にとってはそれが安全となりますが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年3月 2日 (金)

40歳の誕生日

前から予告していましたが、とうとう40歳になってしまいました。贅肉はついてくるし、髪の生え際は少しずつ後退、かっこいい中年にと思っても現実はきびしいものです。

誕生日はちょうどNICUの勉強会が組まれていました。夕方仕事が落ち着いてみなでお勉強、終わって帰ろうとしていると、ちょっとこっち来てくださいと声がかかりました。あれ?何かプレゼントでもあるのかな?と思ってNICUの中にある面談室に入ると!!サプライズの誕生日パーティーが用意されていました。若いDrが作ったというくす球や大きな誕生ケーキも!

まあ、40歳の誕生日、節目ではありますが、なんとも心境は複雑です。本人的にはもう歳が1年に1つ増えるのも忘れたい気持ちですから。でも、家族以外に誕生日を祝ってもらうなんてめったにない事です。素直に感謝しましょうか。

思えば30代は特に悪い事はなく、よい事ばかりでした。40代のスタートの今年はどうでしょうね?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年2月 | トップページ | 2007年4月 »