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2007年7月21日 (土)

しばらくでした

また、久しぶりの更新になってしまいました。前回のエントリーのあと、東京の周産期新生児学会に出席し、帰ってきてバイトの出張がふたつ、家族で一泊旅行と盛りだくさんでした。

外では基本的にネットには繋がないので更新の機会がほとんどありませんでした。

梅雨の東京は暑かった・・・。北海道でも寒い地方にしばらく暮していて(夏でも25度はまれ、30度は10年に1度の地方)、すっかり暑さには弱くなっています。やっと北海道の普通の暑さには慣れましたが、やっぱり東京はきついなあ。東京にも魅力的なところが多いですが、あの夏はどうしようもなくダメですね。

学会ではいろんな人の話を聞いてきました。いくつか印象に残ったことがあります。一つは小児循環器の重鎮による教育講演でのこと。先天性心疾患による死亡は新生児期には減少しているが、成人してから先天性心疾患で死亡している人の数が増加しているとのデータです。一部の重症度の高い疾患での話しでしょうが、進歩した管理、手術により小児期は乗り越えても平均余命はかなり短い可能性があるという事ですね。もう一つは、在胎22週、23週というわたしたちが学生だった頃には中絶が可能だった週数で生まれた赤ちゃんのその後についてのデータです。死亡率についてはここ最近でかなりの進歩があるものの、後遺症のない生存の率は上昇していないという発表がされていました。どちらもわたしたちが日常の診療の中で感じていることではありますが、数字として示されるとつらいものがありますね。

重症度の高い先天性心疾患の場合、両親が手術を希望しない場合があります。22週、23週の赤ちゃんに対して積極的な治療をするかどうかについても同様です。これまでもそうでしたが、迷いが消えることはありませんね。医療者の自己満足のための医療ではいけません。ただ、治療しないという選択をした場合、亡くなった赤ちゃんを見て割り切れない思いが残ります。反対に積極的な治療をして重い後遺症を残して退院した子を外来で見る時には本当につらい気持ちになります。

招待講演で曾野綾子さんのお話しも聞きました。多彩な活動をされている方ですが、今回はアフリカでの奉仕活動などについて話されていました。アフリカでは毎日多くの子どもが感染症や栄養失調などで死んでいます。話しを聞いていて、日本のNICUでやっていることがよいことなのかつらくなってきたところで、医学の進歩のために日本のNICUでやっていることには意義があるというようなフォローをされていました。500gくらいで生まれた赤ちゃんを退院させるまでに必要な医療費は1000万円を超えます。心臓移植を受けに海外に行く子を助けるための募金額は時に1億円を超えます。(海外の医療費は本当に高い)

小さな赤ちゃんを助けるために日夜苦労している自分の仕事はただの自己満足なのか・・・なんて考えてしまいますね。

でも、自分が担当した480gで生まれた子のお母さんが作っているブログで赤ちゃんの成長を見ていると、無駄ではないよな・・・なんて思ったりもするのですが。

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コメント

とても興味深い話です。昔は亡くなっていただろう乳児の命というのは、自然の摂理でいえば、弱い命。それを、一時的にとりとめたとしても、長生きはできないんですね。人それぞれ考え方は違うと思いますが、障害があっても、10年でも一緒に生活ができて、幸せだったと思う人もいれば、こんな辛い目にあうなら、あのとき助けなければ、よかったと思う人もいるのでしょうか。私は医師でないですが、医師の使命というのは、今ここにいる患者を助けることだと思っています。それが、自己満足と思われるのはちょっとやりきれません。しかし、それ以上、その子の将来まで責任を持てないのも事実。大変な立場なんですね。そんなことを考えながら、受験勉強しています。先生のblogは受験勉強にはない、いい勉強になります。更新を楽しみにしています。

投稿: ゆいママ | 2007年7月22日 (日) 20時38分

誰にでもできるわけではない、立派なお仕事だと思います。

投稿: けんたろう | 2007年7月23日 (月) 21時16分

ゆいママさん、けんたろうさん、コメントありがとうございます。

目の前にいる患者を全力で助けるという選択が実はわれわれにとって一番簡単なんです。後遺症のない生存が明らかに望めない場合などには手を出すのを控えることもあります。こちらの選択が本当に難しく、つらいものです。多くの場合、両親やスタッフも含めてじっくり話し合う時間などありませんから。

投稿: 管理人 | 2007年7月24日 (火) 20時46分

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