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2007年11月 6日 (火)

来年の診療報酬改定

財務省が来年度の診療報酬引き下げの方針を発表しました。社会保障費削減のために「高給である医師給与」を引き下げる必要があると説明しています。

医療の値段はすべて国が決めています。例えば急性虫垂炎の手術の値段は日本全国一律料金です。病院は診療の対価として患者から3割をもらい、残り7割を医療保険組合から受け取ることになります。(高度な医療を提供している病院では入院基本料などが高くなっていますから、入院費で言うとどこも一緒ではありません)診療報酬は医師の人件費だけではなく、材料費や看護師、事務員の人件費などすべてを含んでいるわけです。

医師給与が高給であるのかどうかは様々な意見がありそうです。サラリーマン全体の平均と比較すれば間違いなく高いですね。でもその比較はどうでしょうか。同じように取得がある程度難しい資格を持っている職業と比較しなければいけません。弁護士と比較するとどうでしょう?公認会計士は?飛行機のパイロットは?

勤務時間が厳重に管理されているパイロットと時給を比較すれば恐らく大差がつきそうです。人の命を扱う医師の給与がサラリーマン一般より高いことはおかしい事でしょうか。高度成長期の開業医が儲け過ぎていたのは間違いありませんが、すでに過去のことなのを理解している人は少ないようです。開業医と勤務医の収入を比較して開業医が高いのも当たり前です。どんな業種であってもリスクを背負って独立開業した場合、成功すれば社長としてより高い収入を得ることになるはずです。多くの開業医は個人事業主です、病気になれば即路頭に迷うしかありません。

医者は儲け過ぎているというイメージを悪用して財務省は医療費引き下げを国民に納得させようとしていますが、医療費引き下げで本当に困るのは誰なんでしょう?

現在、多くの病院が経営難に喘いでいます。今回の診療報酬引き下げは大きな打撃になることは必至でしょう。特に北海道の地方医療はどんな事になるのか心配です。合理化の余地があると財務省は説明していますが、真先に合理化されるのは採算の合わない地方の医療となってしまいます。医師の高すぎる給与是正のために診療報酬引き下げとの記事を見る一般の人がどう思っているか考えると、何ともやるせない気持ちになってしまいます。

また、開業医の再診料を引き下げて、代わりに午後6~8時に診察した場合の診療報酬を加算する方針も発表されました。日中しか働かない開業医は減収、その分、午後8時まで診療時間を延長して働けば割増してあげると言う事です。この処置の理由を厚労省は勤務医の負担を軽減するためと説明しています。でも、その真意はどうでしょうか?

すでに過去、小児科では時間外外来の加算がありましたが、それによって開業医がどんどん時間外救急をやって勤務小児科医が楽になったと言う話を聞いた事はありません。今回の改定でも勤務医の負担軽減につながると思っている医師はいないでしょう。この処置は開業医締め付け以外の何物でもありません。昨今、勤務医が激務から逃げ出すためにどんどん開業している状況に歯止めをかける意図もあるのかもしれません。

財務省も厚労省も、よくもまあ思ってもいないことを発表することができるものですね。それをそのまま無批判に記事にする新聞記者にも呆れます。

読売新聞のコラムでなぜか紹介されていましたが、『週刊東洋経済』2007年11月3日特大号「ニッポンの医者・病院・診療所」は必見です。この雑誌、ビジネスマンはけっこう読んでいるんでしょうか?よくわかりませんが、医療の現状を理解する人が少しでも増えてくれることを期待します。

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コメント

厚労省のお役人達はほんとに何考えてるんでしょうかね。
日本では医師の絶対数が足りない、定着率も低い。
解決のためには、医師の絶対数の増加と、待遇改善につながる診療報酬の増が欠かせない。
これはもう、反論の余地のない事だと思うのに。
財務省の、厚労省の役人の家族達が、医師不足で苦労する事はないとでも言うのでしょうか。思わず人の不幸を祈ってしまいそうになります。

投稿: ブース子2号 | 2007年11月 7日 (水) 20時42分

厚労省のお役人の考えている事は明確じゃないですか。ただその背後にいる財務省のお役人や経済界の偉い人たちの意志なのかもしれませんが。
何がなんでも医療費削減!目的はそれだけでしょう。

投稿: 管理人 | 2007年11月 9日 (金) 21時52分

私は新聞で医療費で日本の財政が焦げ付いていると知りました。現場の意見ももっともです。しかし、この焦げ付きもどうにかしないといけないでしょうね。
どうにか、ということで、特にアイデアは浮かばないのですが。

日本が破綻すれば、外国の資本がもっと流入し、日本の政治は(裏では)外国(特にアメリカ)、に操作されることも考えられると、経済雑誌で読みました。現に、憲法改正問題なんかもその一部だと聞きました。

投稿: ゆいママ | 2007年11月13日 (火) 15時23分

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