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2008年9月12日 (金)

幼児が一番死ぬ国・日本

こんなショッキングなタイトルの記事が先月の読売ウイークリーに掲載されていました。(わたしはこの記事を読んでいないことをお断りしておきます。)

日本の周産期医療は世界一などとわたしも書いたことがあるかと思います。実際には日本の新生児死亡率、乳児死亡率はシンガポールに続いて世界2位です。
ところが1~4歳の幼児死亡率は決して誇れる数字ではありません。世界では21位です。21位ですから上位ではあるものの他の年代に比べてよくないのは間違いありませんし、いわゆる先進国の中では下位になります。

なぜ1~4歳での死亡率が高いのか?たくさんの要因がからむことで単純な結論にはなりません。

わたしたち新生児科医にかかわることとして気になるのは、無理な延命治療のせいで外国では0歳で亡くなっている子が1歳すぎにキャリーオーバーしている可能性です。実際の調査の結果を見ると、1~4歳で亡くなった子の3割弱は先天的な病気(先天性の心臓病や染色体異常など)あるいは早産や仮死など出生時の問題によるものです。ただ一度も退院できずに亡くなった子の割合は少なく、無理な延命治療のせいとまでは言えない印象のようです。

他にどんな要因があるのか?一つには事故による死亡が多いことです。交通事故、溺水など。交通事故で防がなくてはならないのはチャイルドシート不使用による事故死です。溺水は1~4歳の死亡原因の3%を占めます。幼児がいる家庭で風呂に水を貯めたままは危険ですね。水の節約より子供の命が大切であることをもっと広める必要があります。

急性の病気による死亡の中では脳症が多いのが特徴のようです。日本では一時インフルエンザワクチンの接種がほとんど行われず、大流行により多くの幼児が脳症で亡くなりました。数年前からは再びインフルエンザワクチン接種率が上がってきていますから新しいデータではおそらく減少しているだろうと思われます。

もう一つ大事な原因として、小児救急の不備を挙げなければならないでしょう。ここで言う小児救急とは発熱でかかるような夜間外来のことではありません。脳症であればけいれん重積の子が集中治療を受けられる病院、交通外傷の重症児を受け入れて集中治療のできる病院のことです。小児の集中治療をできる病院が少ないことは以前から問題視されていますが、一向に改善される気配はありません。多くの子ども病院は慢性疾患の治療を行うところであり、重度の外傷の子どもを治療できるところはほとんどないのが現状です。子どもの集中治療には各科の小児専門医が必要で、小児科医だけではどうにもなりません。大人の救急救命センターが1~4歳の幼児に対応するのは困難と思われます。当然ながら現在の医療制度では採算の取れる部門にならないことは明白ですから行政の主導が必要です。

詳細な分析と結果を今後に生かすことを、厚労省に期待したいですね。

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