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2010年2月21日 (日)

ハートリンク共済

毎日新聞で以下の記事を見つけました。

ハートリンク共済というのがあるんですね、知りませんでした。

引用します。

小児がん:健康な人も加入可能に 経験者の共済保険

 小児がん患者の親や医療関係者でつくる市民団体「ハートリンク」(新潟市、浅見恵子理事長)は、小児がんを克服した人の医療保障を担う共済事業の加入条件を広げ、一般の人も加入できるようにした。加入者増で掛け金が増えれば、小児がん経験者の生活支援などを充実させられるといい、加入を呼びかけている。

 15歳以下の子どもがかかる小児がんは、現在では7~8割が治り、元患者は全国で5万~10万人(推定)に上る。しかし彼らが加入できる医療保険はほとんどない。ハートリンクは05年、会員の元患者が医療保障を受けられる「ハートリンク共済」を始めた。

 元患者対象の「本人プラン」と、その家族が入る「家族プラン」の2本立てで、加入者が病気やけがで入院した場合や死亡時に共済金が支払われる。加入者は約300人。従来、本人プランの保障を家族プランの掛け金で補ってきたが、家族プランへの加入条件を改正、家族以外の健康な会員にも広げた。

 小児がん経験者は、がん克服後も別のがんを患ったり、合併症が遅れて表れるなど、健康な人よりリスクが高い。加入者が増えることで、元患者の保障を充実させ、現在は加入できない服薬中の元患者も対象にできるという。

 長女の闘病を通してハートリンクにかかわり、私費1000万円を投じて共済制度設立に動いた林三枝事務局長は「小児がん経験者は体力不足から就職が難しいなどさまざまな社会的困難がある。掛け金を活用して元患者の働く場も増やしたい」と話す。問い合わせは事務局(025・285・8534)。【下桐実雅子】

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2010年2月13日 (土)

診療報酬改定

民主党政権になってはじめての診療報酬改定が行われましたね。
全体の増額はほとんどゼロと言っていいもので、選挙前の威勢のよい掛け声とはぜんぜん違ったものになってしまいました。診療所(政府、厚労省、マスコミは開業医とあえて置き換えていますが正しくありません)への報酬を削って、病院(同様に勤務医と置き換えられていますが、もちろん正しくありません)をわずかに増やしています。

わたしが働いているNICUでは、入院料が一日8万5千円から10万円に増額、これまで評価されなかったGCU(NICUを出た回復期の赤ちゃんの病床)が5万4千円となりました。どちらも算定できる日数制限があるため入院中ずっとこの診療報酬と言う訳ではありませんが。

新生児学会のえらい先生たちが活動してくれた結果です。感謝しています。

朝日新聞を見てみると、さっそく新しい診療報酬で患者負担がどうなるか試算した結果が掲載されていました。要するに患者負担が増えるのだと読者へしっかりアピールしているように書いてあります。例は1800gで生まれた赤ちゃんがNICUに入院し、その後、GCUに移って退院となった場合があげられていました。患者の自己負担が数千円上がると書かれています。でも、ちょっと待て!1800gで生まれた赤ちゃんは養育医療と言う助成制度の対象ですから、そもそもこれまでもこれからも入院費の自己負担はありません。この記事の意図は何なんでしょうね。悪意を持った確信犯なのか、いい加減な取材不足からの凡ミスなのか?

そんなことはさて置き、この新生児分野に対する診療報酬増額の効果はどうなのか?日本全体でしかも長い目でで見れば間違いなくよいことと思います。これまで労働基準法を無視した状態でやっと成り立っていた新生児医療に金銭的余裕が生まれます。今よりもDrを増員し、疲れ果てた新生児科医の負担を減らすことができるでしょう。しかし、これまで書いてきたように新生児科医はすぐに増やせるものではありません。すぐに増やそうとすれば小児科医として小児救急に携わるDrを減らすことになってしまいます。小児科医と言う限られた人数の中でサブスペシャリティーとして新生児医療に携わるものが増えれば、当然それ以外の小児科医は少なくなります。

北海道ではどうでしょう?恐らく札幌圏のNICUは金銭的余裕が生まれ増員が可能になると思われます。そうなると、今でもひどい札幌以外の地域との格差は大きくなります。交代性勤務が可能で一人一人の負担が減り、しかも大都市であるメリット。北海道の地方中核病院の多くは患者数が少なすぎてそれほどの恩恵を受けることができないでしょう。北海道の地方の医療圏は30数万人程度ですから、大きい規模のNICUを維持するには少なすぎます。患者数が少なければ少人数のDrでいいんじゃないかと思われるかもしれませんが、そうではありません。重症の赤ちゃんが入院すれば1ヶ月でも2ヶ月でも寝ずに付きっ切りの状態が続きます。それを少人数でやるのにはやはり無理があります。医師を増やす余力のない地方病院と増員が可能な大都市病院で差が広がってしまいます。

さらに若い小児科医は大学の医局に所属することを避けています。彼らがそう意図しているのかはわかりませんが、結果として大都市で研修する若い小児科医は地方の医療にはまったく貢献しないことになっています。

地方の医療をどう維持するのか?難しいですね。

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