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2010年2月13日 (土)

診療報酬改定

民主党政権になってはじめての診療報酬改定が行われましたね。
全体の増額はほとんどゼロと言っていいもので、選挙前の威勢のよい掛け声とはぜんぜん違ったものになってしまいました。診療所(政府、厚労省、マスコミは開業医とあえて置き換えていますが正しくありません)への報酬を削って、病院(同様に勤務医と置き換えられていますが、もちろん正しくありません)をわずかに増やしています。

わたしが働いているNICUでは、入院料が一日8万5千円から10万円に増額、これまで評価されなかったGCU(NICUを出た回復期の赤ちゃんの病床)が5万4千円となりました。どちらも算定できる日数制限があるため入院中ずっとこの診療報酬と言う訳ではありませんが。

新生児学会のえらい先生たちが活動してくれた結果です。感謝しています。

朝日新聞を見てみると、さっそく新しい診療報酬で患者負担がどうなるか試算した結果が掲載されていました。要するに患者負担が増えるのだと読者へしっかりアピールしているように書いてあります。例は1800gで生まれた赤ちゃんがNICUに入院し、その後、GCUに移って退院となった場合があげられていました。患者の自己負担が数千円上がると書かれています。でも、ちょっと待て!1800gで生まれた赤ちゃんは養育医療と言う助成制度の対象ですから、そもそもこれまでもこれからも入院費の自己負担はありません。この記事の意図は何なんでしょうね。悪意を持った確信犯なのか、いい加減な取材不足からの凡ミスなのか?

そんなことはさて置き、この新生児分野に対する診療報酬増額の効果はどうなのか?日本全体でしかも長い目でで見れば間違いなくよいことと思います。これまで労働基準法を無視した状態でやっと成り立っていた新生児医療に金銭的余裕が生まれます。今よりもDrを増員し、疲れ果てた新生児科医の負担を減らすことができるでしょう。しかし、これまで書いてきたように新生児科医はすぐに増やせるものではありません。すぐに増やそうとすれば小児科医として小児救急に携わるDrを減らすことになってしまいます。小児科医と言う限られた人数の中でサブスペシャリティーとして新生児医療に携わるものが増えれば、当然それ以外の小児科医は少なくなります。

北海道ではどうでしょう?恐らく札幌圏のNICUは金銭的余裕が生まれ増員が可能になると思われます。そうなると、今でもひどい札幌以外の地域との格差は大きくなります。交代性勤務が可能で一人一人の負担が減り、しかも大都市であるメリット。北海道の地方中核病院の多くは患者数が少なすぎてそれほどの恩恵を受けることができないでしょう。北海道の地方の医療圏は30数万人程度ですから、大きい規模のNICUを維持するには少なすぎます。患者数が少なければ少人数のDrでいいんじゃないかと思われるかもしれませんが、そうではありません。重症の赤ちゃんが入院すれば1ヶ月でも2ヶ月でも寝ずに付きっ切りの状態が続きます。それを少人数でやるのにはやはり無理があります。医師を増やす余力のない地方病院と増員が可能な大都市病院で差が広がってしまいます。

さらに若い小児科医は大学の医局に所属することを避けています。彼らがそう意図しているのかはわかりませんが、結果として大都市で研修する若い小児科医は地方の医療にはまったく貢献しないことになっています。

地方の医療をどう維持するのか?難しいですね。

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