プレドニンは副腎皮質ホルモンあるいはステロイドと言われる薬の一種です。
闘病中に使った抗がん剤のことは以前書きました。今回はプレドニンについて思い付いたことを書いてみたいと思います。
プレドニンに限らなければ、ステロイドを使うことは日常の診療の中でもしばしばあります。わたしが専門としている新生児医療においても、血圧低下、低血糖なんかで使うこともあれば、慢性肺疾患と言われるやっかいな病気の際に仕方なく使うこともあります。
新生児以外の小児科でもネフローゼ(腎臓の病気)、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、白血病、膠原病などホントにたくさんの病気の治療薬として使われています。
これだけの病気に効果があるよい薬ですが、特にアトピー性皮膚炎で軟膏として使う際には、お母さんから思わぬ強い拒否反応が出ることがあります。ここでアトピー性皮膚炎治療の詳細を書くことはしませんが、いわゆるアトピー商法にからんで出回っている情報によってステロイドが悪い薬と思い込んでいるお母さんがたくさんいます。外来でステロイドが恐いと訴えるお母さん達は、ステロイドを薦めてくるわたしのような医者も悪いやつと思っているかもしれません。わたしはステロイドの恐さを実体験として知ってるんですけどね。
悪性リンパ腫の治療においてもステロイドは重要な役割を果たします。わたしの場合、治療開始まもなくからステロイドはずっと飲んでいました。あのちっちゃくて飲み込み損ねると苦い薬・・・。
入院して3ヶ月ちょっと経った頃、いわゆる試験開腹を目的として大学病院の外科に転院となりました。ところが入院したのになかなか手術となりません。当時、聞いた話としては執刀する助教授が出張でいないんだとか・・・。抗がん剤の治療は中断されていて、その間、大量のプレドニンを飲み続けることになりました。そうこうしながら手術が終わり元の病院にもどって少しして、プレドニンの恐ろしい副作用が出てしまいました。入院から半年くらい経った頃のことです。腰を曲げた途端に激しい痛みが・・・。これ以前も以後も体験したことのない激しい痛みでした。プレドニンの副作用で骨が脆くなり、腰の骨がつぶれてしまいました。闘病中この寝たきりの時期がもっとも辛かったと思います。あまりの激しい痛みだったため、恐くてなかなかリハビリを始めることができませんでした。きっと本当はもっと早く歩くことができたはずですが、自信が持てずにかなりの期間ベッドの上で過ごすことになりました。この時に励ましてくれた看護実習生(前に書いた人です)がいなかったら、もっと長くベッドで過ごしていたでしょう。治療が終わってからもしばしば腰痛が出て、大学時代かなりひどい時もありました。幸いながら今はほとんど痛むことはありません。
ステロイドはよく切れる諸刃の剣です。昔からある古典的な薬ですが、これで命を救われる患者は今でもたくさんいます。免疫の研究がもっと進んで自在に免疫を操れるような時代になれば、昔はあんな副作用もある野蛮な薬を使っていたんだと振り返る日がくるでしょう。しかしながら、その日が来るまではステロイドが重要な薬であることに違いはありません。
わたしが腰痛で動けなくなった頃、こんな薬飲ませない!と母が主治医に言って、逆に叱られていたのを思い出します。
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